イベントレポート:第二弾コラ研~WeWork乃木坂でメンバー企業がスタートアップ支援の本音を語る

イベントレポート:第二弾コラ研~WeWork乃木坂でメンバー企業がスタートアップ支援の本音を語る

イベントレポート   2019年4月15日

WeWork乃木坂において2019年2月20日、WeWorkメンバーの相互交流を促進するイベント「コラボ研究会開催 第二弾! メンバー企業紹介開催!乃木坂に全員集合♪」が開催された。主催する株式会社オファーズは、ゲストスピーカーを招いて一方通行で情報発信する従来型イベントはWeWorkメンバーのニーズにマッチしないとし、メンバー企業を巻き込んだ参加型イベント開催にシフトしているという。参加型イベントの第二弾となるWeWork乃木坂での開催では、メンバー企業のプレゼンテーションに続いて、登壇者を一堂に会してのパネルディスカッションも実施。参加者がスマートフォンからリアルタイムで登壇者への質問を投稿できるアプリケーションも活用して、双方向の意見交換を促進する仕組みを用意した。どのようなイベントだったのか紹介していこう。

■アフター5のリラックスした時間に情報収集

WeWork乃木坂のコミュニティスペースに大型スクリーンが設置され、その周囲にソファやブース席が設けられている。イベント開始時刻の18:30に近づくにつれ、多くのメンバーがコーヒーやビールなど、おもいおもいの飲み物を手に席について開催を待っている。およそ40席がほぼ満席で、30名以上の立ち見の参加者も見られるほどの盛況だ。一般的なイベントと違って、自分が働いているオフィスで開催されること、仕事を終えた時間に開始されること、そしてフリードリンク、フリーフードという好条件がそろっているので、誰もが気軽に参加できるのだろう。

■SMBCグループは金融を超えたスタートアップ支援を提供

株式会社三井住友銀行
成長事業開発部
SMBC Startup Hub
センター長
大津 寛淑 氏

最初に登壇したのは株式会社三井住友銀行でスタートアップ企業の支援を行う成長事業開発部の大津氏だ。会場から寄せられた質問を基にSMBCグループの取り組みを紹介しよう。

問:まず、三井住友銀行のスタートアップ企業に対する取り組みをご説明ください。

大津:私の所属する成長事業開発部は、その名のとおり成長企業のサポートを専門に行う部門で、今年1月から渋谷のWeWork Iceberg(アイスバーグ)に入居しています。当社が提供するのはスタートアップビジネスの課題解決、およびスタートアップに特化した金融ソリューション提案です。シードからIPOまで一気通貫でサポートできる体制を構築し、従来の金融支援を中心とした銀行業務に加え、SMBCグループやリレーションのある大手・中堅企業も巻き込んだSMBCのベンチャーエコシステムを提供できます。スタートアップ企業の支援には約20年の経験があり、年間数多くの個別アライアンスをサポートしています。成長性のあるスタートアップ企業の方々とのネットワーク構築を目指してWeWorkに入居いたしました。

問:スタートアップ企業に対してどのような支援を提供してくれますか?

大津:融資のほかにも、親密なベンチャーキャピタルの紹介、大手・中堅企業とスタートアップ企業とのマッチングも積極的に行っています。ビジネスマッチングは年間数多くの実績があり、他にも産学連携のネットワークもあります。さらに、事業計画の立案サポートなど、広範囲のサポートを用意しています。

問:WeWorkに入居し、今日のようなイベントにスピーカーとして登壇する目的は?

大津:スタートアップ企業の皆様との接点をもっともっと増やしたいという思いでやってきました。この会場には私以外にも(三井住友銀行のコーポレートカラーである)緑色のパーカーを着たSMBCの人間も来ていますので、ビジネスアイディアを持っている方や、何らかの課題に直面している方がいましたら、ぜひ積極的に声をかけていただきたいと思っています。

■自治体初のWeWork入居を決めた静岡市の狙いとは?

静岡市東京事務所
主査
藤澤 翔 氏

続いて自治体では日本初のWeWorkメンバーとなった静岡市から、東京事務所に勤務し日々静岡市のPRに奔走している藤澤氏がマイクを握った。

問:なぜ自治体がWeWorkに入居したのですか?

藤澤:静岡市はプラモデルメーカーの株式会社タミヤやガンプラで有名な株式会社バンダイなどのホビーメーカーが集約しているほか、水産缶詰(ツナ缶など)の生産全国一など、元気な地元企業がたくさん活動しています。こうした地元企業とWeWorkメンバーとのマッチングや、静岡市への企業誘致、情報発信などを目的としています。

問:三カ月のトライアル後、市議会で予算の承認を得て継続が決まったそうですが、どうやって市議会を説得したのでしょうか?

藤澤:自治体初の取り組みということで、新聞などのメディアに取り上げてもらえ、他の自治体から多数の問い合わせをもらっています。そうしたインパクトもありましたが、もちろん具体的な成果も求められました。従来なら月1~2回東京に出張して企業訪問しても、3~4社くらいしか回れなかったのですが、WeWork入居後、4か月間で180社の新規企業さまと名刺交換できました。まだ公表段階にはありませんが、すでに市内企業との商談や静岡市との連携案件が進行中しています。こうしたスピード感はいままでになかった成果で、そこを議会にも認めてもらえました。

問:WeWorkから生まれるネットワークの良さは何だと思いますか?

藤澤:これまで接点を持てなかった分野の企業とつながれることです。また、通常の企業訪問では会話が一方通行になりがちでしたが、WeWorkのコミュニティスペースでは双方向の会話ができます。私自身、WeWorkに来てから企業人に対するイメージが変わりました。これまで企業の方と話していても隠し事が多くてガードが堅いという印象でしたが、WeWorkではオープンに語ってくれる人が多いと感じます。

問:具体的な成果はありますか?

藤澤:WeWork ギンザシックスのコミュニティスペースで、ある企業様を介しての知り合った方に2泊3日の静岡市コミュニケーションツアーを紹介したところ、軽いノリで参加してくれました。静岡市内のコワーキングスペースを使ってお試しのテレワークを実施し、市の職員や市内企業との商談も行いました。ほかにも、WeWork ギンザシックスのコミュニティーチームの方から紹介いただいた企業を介して、静岡市内企業向けのAIセミナーが実現しています。

■若手人材「データサイエンティスト」の発掘、育成の拠点にWeWorkを活用

SOMPOホールディングス株式会社
データ戦略統括
チーフ・データサイエンティスト
中林 紀彦 氏

最後に登壇したSOMPOホールディングスの中林は、直前まで採用面接を行っていたそうで時間ギリギリに会場に滑り込み、まずはビールで喉を潤してからプレゼンテーションを始めた。

問:三年前に立ち上げたデジタル戦略部門はどんな活動をしていますか?

中林:AIテクノロジーが進化し、車の自動運転に代表されるリスク予知やリスク回避が可能になると、保険業は従来のビジネススキームでは生き残れないという危機感があります。そこで2017年4月から「データサイエンスブートキャンプ」というセミナーを開講し、デジタル技術やデータを扱える人材を育て、採用することを目指しています。仕事を終えてから通える夜間コースで三カ月間のプログラムを受けていただいています。ここの卒業生(ブートキャンパー)をすべて社員採用するわけにはいかないのですが、卒業生同士のネットワークが良好で、面白いアイデアが出てくることに気づきました。そこで20~30人のコアメンバーとの関係を継続するため、彼らをフルコミット(正規採用)ではなく、サブコミットで活動できる環境をWeWork 丸の内北口に立ち上げました。

問:そこではどんな活動をしていますか?

中林:当社は保険業を展開する中でさまざまなデータを蓄積しています。それを活用して新しいビジネスへつなげることを目的に、ブートキャンパーに自治体やベンチャーキャピタリストなど外部の人材も加えて、事業化の研究を進めています。例えば京都府と連携して、観光をもっとスマートにする取り組みについて実証実験を計画しているなど、着実な成果につながっています。現在は13人部屋を確保して、ブートキャンパーの活動に利用するほか、私は社外の方と会うのに積極的にWeWorkを利用しています。交通の便がいいというだけでなく、WeWorkのオープンな空間で話をする方が、新しいアイデアが生まれる気がしています。

問:新規事業立ち上げについて、会社からどんなKPIを持たされていますか?

中林:もちろん企業である以上、利益の数字は持たされていますが、それ以上に会社からは失敗しろと言われています。失敗そのものはKPIではないですが、とにかくスピード感をもって数をこなしなさいと。そして成功したものはどんどんサービス化するように言われています。PoC(Proof of Concept:概念実証)を実施した回数と、そのうちの成功数もKPIのひとつです。

■パネルディスカッション

三人の登壇者がそれぞれのプレゼンテーションを終えたところで、株式会社オファーズ代表の大島氏をモデレータに迎え、会場の参加者が投稿した質問に答える形式でパネルディスカッションが行われた。

大島:静岡市さんは頻繁にWeWorkでイベントを開催され、毎回かなりの参加者を獲得されていますが、どういう企画を心がけていますか?

藤澤:市内企業の紹介、市政の取り組み紹介が基本になりますが、紹介だけでなくWeWorkの良さである交流の活発さを生かして、プレゼン時間は極力短く、交流に時間を割く方針で企画しています。あとは、市内事業者には食品業が多いので、イベントで試食していただくフード提供を受け、商品紹介につなげています。成果として、「ワサビース」というワサビのエキスが入ったイクラのようなビーズがあります。市内企業の作ったこの商材をWeWorkでテストマーケティングしたところ反応が良かったので、当初は業務提供のみの予定だったのですが、小売展開も決まりました。SNSでバズって、TVの「王様のブランチ」や「ヒルナンデス」にも取り上げていただきました。現在、生産が間に合わない状況です。

大島:次は三井住友銀行の大津さんへ、WeWorkに期待していることは?

大津:当社は入居されているスタートアップ企業との交流が目的で入居しています。多くの方から本音を聞きたいと思って、毎日WeWork Icebergに通い、イベントにも参加しています。多くの方と仲良くなれた一方、まだネットワークの深いところまで入れていない印象があります。相手の背景を知らないで声をかけているせいもあるのでしょう。そのあたりを課題に感じているので、コミュニティーチームの方には、更に踏み込んだ個別のマッチングを提供していただけると嬉しいですね。

大島:SOMPOホールディングスの中林氏は新規事業開拓の取り組みで、特に気を付けていることは何ですか?

中林:大企業の人間は、とかく上から目線になりがちですので、できるだけスタートアップ企業の方と目線を同じにすること。契約条件も自社の主張を押し付けないように、フラットに、ニュートラルにするよう気を付けています。

大島:この三者で新しくできそうなアイデアはありませんか?

中林:銀行と保険はいい組み合わせじゃないですか。銀行は投資できるし、失敗したときのために保険を付けられる(笑)。スタートアップ支援で、私たちがアセスメントして、いくらなら投資できるといってあげて、失敗したら保険でカバーする。それを静岡市のフィールドで実証実験をさせてもらえると、三者の座組みができるかな。

大津:それ、ぜひやりましょう。我々はリスクをとっていくビジネスですから、保険とセットにした座組みがあればやりやすい。

中林:新しい取り組みを始めるには、どうしても実証事件を行えるフィールドが必要になるのです。これまでは海外に目を向けがちですが、国内でもぜひ進めたい。

大島:最後に、WeWorkの改善点があればご意見をください。

大津:メンバーのプロフィールが分かる仕組みが欲しい。交流を進めやすくなるので。

藤澤:WeWorkの拠点は増えていますが、自分たちのリソースは限られているので、なかなかすべてを回れないのが悩みです。

中林:それはWeWorkコミュニティで用意されているデジタルツールを使えば解決できないですか。メッセージ発信とか。あと、休日にオープンにしていただけると使いやすくなる。ファシリティ的な問題もあるのでしょうが……。

大島:話題は尽きませんが、そろそろお時間となりました。最後に御三方に盛大な拍手をお願いします。どうもありがとうございました。この後は交流の時間とさせていただきます。飲み物や食事をつまみながら、楽しいひと時をお過ごしください。

以上

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