ニューノーマル時代に求められる新しい働き方

ニューノーマル時代に求められる新しい働き方

レポート   2020年7月20日

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、感染防止対策として多くの企業が在宅勤務をメインにテレワークを活用するようになりました。2020年7月には大手電機メーカー富士通が22年度末までに国内のオフィススペースを50%程度に削減すると発表。大きな話題となりました。この動きは今後、働き方やオフィスの在り方にどのような影響を与えるのでしょうか。
2020年5月にオファーズが行った「未来の働き方におけるオフィスニーズアンケート」と各種調査を分析すると、在宅勤務の課題とサテライトオフィスの潜在的なニーズが見えてきます。

コロナを機にテレワークでの在宅勤務も増えたが…。業務環境に課題も

まずは在宅勤務が実際にどのくらい増えたのかを確認しましょう。「パーソル総合研究所 新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」によると、緊急事態宣言前のテレワーク実施者(正社員)は13.2%でしたが、緊急事態宣言後は27.9%と2.1倍増となりました。他の地域より早く緊急事態宣言が出された7都府県(東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡)では38.8%がテレワークを実施、中でも東京都では49.1%と約半数が在宅勤務となりました。

コロナ対策のため、多くの企業が在宅勤務に踏み切りましたが、在宅勤務には課題もあります。日本生産本部が5月に実施した「新型コロナウイルスの感染拡大が働く人の意識に及ぼす調査」を見てみると、「自宅での勤務で効率が上がったか」との問いに対し、24.8%が「下がった」、41.4%が「やや下がった」と回答。6割以上の人が自宅勤務で仕事の効率は下がったと感じています。

在宅勤務の課題としては「職場に行かないと閲覧できない資料・データのネット上での共有化」「Wi-Fiなど通信環境の整備」「部屋、机、椅子、照明など物理的環境の整備」があげられ、業務環境に課題があることがわかります。

一方で「自宅での勤務に満足しているか」という問いには18.8%が「満足」、38.2%が「どちらかといえば満足」と答え、コロナ禍収束後も6割以上がテレワークを行いたいとしています。仕事の効率は落ちるものの、通勤ラッシュの満員電車から解放されることや新型コロナウイルス感染リスクが軽減されること、家族との時間が増えるなどのメリットを感じている様子がうかがえます。

7割強が将来サテライトオフィスを希望
新型コロナウイルス対策として在宅勤務が注目されましたが、一般的にテレワークは在宅勤務のほか、「サテライトオフィスなど特定の場所での勤務」、「カフェなどで働くモバイルワーク」の3つの働き方を指します。企業の本社や支社以外に郊外の駅近くなどに小規模なオフィスを構える「サテライトオフィス」。サテライトオフィスには通勤時間の短縮や営業など外勤者の移動時間が減らせる等のメリットがありますが、導入している企業はまだ多くはありません。

オファーズが5月に行ったアンケート調査によると、現在実際にサテライトオフィスを設けている企業は1割程度でした。しかし、7割強の72%が自社(本社・支社)や自宅のほかにサテライトオフィスでも勤務したいと回答しており、サテライトオフィスに関心のある企業は多く潜在的な需要は大きいといえるでしょう。

オフィススペースを半減し最適化すると発表した富士通もサテライトオフィススペースを拡張、テレビ会議システム等を整備する方針です。富士通の動きにならい、サテライトオフィスを導入する企業が増えることも予想されます。

■自宅・サテライトオフィス・会社、複数の場所で働く未来

自宅・サテライトオフィス・会社のうち、どこでどのくらいの頻度で働きたいのかについても見てみましょう。オファーズのアンケートでは将来的に週1~3日、自社(本社・支社)・サテライトオフィス・自宅それぞれの場所での勤務を希望する層が均等に4~5割ずつという結果になりました。

また、今後オフィスに求める環境としては、3~4割が「業務環境が整っている」「気軽に相談・コミュニケーションをとりたい」と答えています。生産性本部の調査でも、在宅勤務の課題としてデータの共有や通信環境、机・椅子などの物理的環境の整備があがりましたが、それと符合する結果といえます。在宅勤務に満足しているものの、業務に集中できる環境で自宅からはアクセスできない資料を用いる仕事をしたり、上司や同僚に相談、コミュニケーションを取ったりするためにサテライトオフィス、会社という場にも必要性を感じているということでしょう。

オフィスに欲しいツールとしては「自由に使える席」「会議室の利用状況がリアルタイムで見える仕組み」「会議室の予約が簡単にできる仕組み」「来客対応が簡単にできる仕組み」が上位を占め、自分の業務に集中したいという希望が想定できる結果となりました。

外部との打ち合わせや会議のある時は本社、顧客情報など機密情報を扱う資料の作成などの仕事はサテライトオフィス、企画や報告書の作成など一人でできる事務作業は自宅でといったように業務内容や仕事のシーンによって就業場所を選ぶ――複数の場所で働くのがこれからのスタンダートになるかもしれません。

■導入済み企業はサテライトオフィスに満足

オファーズのアンケートではサテライトオフィスを導入済み企業の社員全員が、将来的な就業場所の一つとしてサテライトオフィスを選択しています。このことから、導入済みの企業はサテライトオフィスに満足していることがうかがえます。

また、厚生労働省は企業に向けて職場における新型コロナウイルス感染予防のための対策を実施するよう呼びかけています。オフィスの消毒や換気といった対策はもちろんですが、コロナウイルス感染のリスクが高いとされる「密閉・密集・密接」の三密を避けることも重要です。一つのフロアに机が並び、同僚と隣り合わせで仕事をするという従来のオフィスでは三密を避けるのは困難。そのため、国もローテーション出勤やテレワークを推奨しており、今後は在宅勤務のほかサテライトオフィスでの勤務も増え、サテライトオフィスの需要が高まるでしょう。

(ライター:我謝かおり)

▼参考文献
・在宅勤務、テレワークの導入は緊急事態宣言後2倍に(パーソル総研調査)
https://rc.persol-group.co.jp/research/activity/files/telework.pdf

・6割が在宅のテレワークでは仕事の効率が下がったと回答。(日本生産性本部調査)
https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/5f4748ac202c5f1d5086b0a8c85dec2b.pdf

・職場における新型コロナウイルス感染症への感染予防、健康管理の強化について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/000630690.pdf

・コロナ前でも働き方改革、人材確保などを目的に潜在需要はアリ。平成29年、サテライトオフィスの需要について(総務省調査)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000484658.pdf

・富士通は2022年度末までにオフィスを50%程度に最適化。(富士通プレスリリース)
https://pr.fujitsu.com/jp/news/2020/07/6.html

・日本の企業カルチャーにテレワークはなじみにくい?(野村総合研究所)
https://www.nri.com/jp/keyword/proposal/20200602

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